ババ型とサヴァラン型は、どう違うのですか
ババ型とサヴァラン型の違いは「穴の有無」。使い分けはホールかポーションかで決まります。
ふうちゃんこの前図書館の記事でババ・オ・ラムのことを読んだんだけど、「ババ型」っていう言葉が出てきて。サヴァラン型とは違うの?



いい質問だね。実は、この二つの型の話には、ちょっと面白いねじれがあるんだ。順番に見ていこうか。
- ババ型とサヴァラン型は、どう違うのですか
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いちばん大きな違いは、中央に穴があるかどうかです。
ババ型 サヴァラン型 形 小ぶりな円筒形(やや上が広がる) リング型(中央に穴) 穴 なし あり 大きさ 一人分 切り分ける大きさ 仕上がり コルク栓のような姿 王冠・ドーナツのような姿 ババ型は一つずつ焼く型で、焼き上がりがコルク栓に似ていると言われています。サヴァラン型はリング状に焼いて、あとから切り分けるための型です。
- サヴァラン型の穴には、意味があるのですか
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三つあります。
- 火の通り:中央に穴があることで生地の厚みが薄くなり、中心まで均一に焼ける
- シロップの染み込み:表面積が増える分、含浸が早く、均一になる
- 仕上げの器になる:穴の部分にクレーム・シャンティイやフルーツを詰められる。サヴァランの典型的な姿は、ここから生まれている
穴は見た目のための装飾ではなく、焼きと含浸のための機能です。
- では、ババはババ型で焼くものではないのですか
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ホール(丸ごと)で作るか、ポーション(一人分)で作るかによって使い分けられています。
ババを生んだパリの菓子店ストレー(Stohrer)は、自著のなかでババ・オ・ラムの器材として直径18cmのサヴァラン型を指定しています。一方で同じページには、「Moule à babas(ババ型)」とキャプションの付いた古い版画も併載されています。
一見矛盾するようですが、ストレーの公式サイトで販売形態を確認すると、実際の使い分けが見えてきます。
- ホール販売のとき:リング状のサヴァラン型で焼く
- ポーション(1個売り)のとき:小さなババ型で焼く
つまり「ババ型が正しいか、サヴァラン型が正しいか」という二者択一ではなく、販売・提供の形に応じて型を選んでいる、というのが実際のところです。ババの歴史そのものについては、図書館の「ババ・オ・ラム」の記事に詳しく書いていますので、あわせてご覧ください。
出典:Le livre de pâtisserie Stohrer (Jeffrey Cagnes 著、Éditions du Chêne、2020年)/ストレー公式サイト(販売形態の確認)
- 昔のババ型は、どんな形だったのですか
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いまと同じではなかったようです。
ストレー本に載っている古い版画の「ババ型」は、縦に溝の入った、背の高い形として描かれています。今日一般に「ババ型」と呼ばれる、溝のない小さな円筒形とは、印象が異なります。
ただしこれは一枚の版画から分かることなので、「昔はこういう形だった」と一般化するのは行き過ぎです。あくまで、その版画に描かれている形が今と異なって見える、というところに留めておきます。
ババの祖先はクグロフだと言われています。三つの型を並べてみると、菓子どうしの関係が型にも表れているように見えます(ただし「こう進化した」と因果関係を主張するものではありません)。
- クグロフ型:溝があり、穴があり、背が高い
- ババ型:溝がなく、穴がなく、小さい
- サヴァラン型:溝がなく、穴があり、低い
- 日本でババ型は買えますか
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サヴァラン型に比べると、選択肢は少ないのが実情です。
日本の製菓材料店では、サヴァラン型が定番商品として流通している傾向があります。一方「ババ型」という単独のカテゴリーは、ほとんど見当たりません。実務では、サヴァラン型やセルクルで代用されることが多いのが現状です。
流通状況は時期によって変わるため、あくまで傾向として捉えてください。
- 手持ちの型で代用できますか
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できます。押さえる点は二つです。
- 深さのあるものを選ぶ:生地は発酵で膨らむため
- 一度に焼く量を揃える:大きさがばらつくと、火の通りと含浸にかかる時間が変わる
代用候補としては、セルクル、プリン型、マフィン型が挙げられます。
大きさが変われば、焼成時間もシロップの含浸時間も変わります。レシピの数値をそのまま当てはめないようご注意ください。
- 型によって、仕上がりは変わりますか
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変わります。主に二つの点で。
- 火の通り:穴の有無・生地の厚みによって、焼き時間が変わる
- シロップの入り方:表面積と厚みによって、染み込む速さと均一さが変わる
同じ生地でも、型が違えば別の菓子のような口当たりになることがあります。
- プチ・ラパンでは、どの型を使っていますか
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リング型(サヴァラン型)のみを使用しています。
当店は以前、ホール販売のみを行っていた経緯があり、現在もリング型しか持っていません。そのため、ポーション(1個売り)の場合も、専用のババ型で個別に焼くのではなく、リングで焼いたものをカットしてお出ししています。
これは奇しくも、Q3で触れたストレーのホール販売時の運用と同じ型の使い方です。ポーションを個別に焼き分けるかカットで対応するかは、お店ごとの体制によるところが大きく、どちらが正解というものではありません。
