こんにちは、古の都―京都・長岡京より本場フランスの味にこだわってケーキを作り続けているプチ・ラパンのシェフ・TOMです。
お菓子作りの好きな方なら、これがバニラの正体だってことご存知ですよね!?高価な食材『バニラビーンズ』無駄なく使えていますか?
今日はお菓子作りの超高級食材『バニラビーンズ』を無駄なく効果的に使用する方法をレクチャーします。
そもそもバニラビーンズって何?
プリンやカスタードクリームに入っている黒い粒粒がバニラだっていうことは、ケーキは食べるだけっていう方の中でも知られてきているのではないでしょうか?
では、バニラってどんな形?
と聞かれると、ご自身でケーキを作られる方の中でもごく一部しか正解できないのではないでしょうか。
中央アメリカ原産のラン科の植物です。
バニラ(vanilla、学名 Vanilla planifolia)はラン科バニラ属の蔓性植物。または、その植物から抽出された香料のこと。種小名はラテン語で「扁平な葉」を意味する。
原産はメキシコ、中央アメリカといわれている。栽培マダガスカル、メキシコ、グアテマラ、ブラジル、パラグアイ、インドネシアなど。
花言葉は「永久不滅」。
バニラ・ビーンズはその名の通りバニラの種子のことであるが、種子を含んだ種子鞘ごと発酵・乾燥を繰り返すキュアリングを行うことによって初めて香料となる。
原料として主に使用されるのはバニラ (Vanilla planifolia) の種子鞘で、この他に品質は少し劣るものの、同じバニラ属であるニシインドバニラ (V. pompona) も原料として利用される。
バニラ・エッセンス、バニラ・オイルは成分を抽出して溶剤に とかしたものであるが、バニラ・ビーンズ(vanilla pod、バニラのさや)は非常に高価(一本数百円)なため、人工的に合成された成分を大なり小なり溶かした物が多い。
この為人工香料を使わず、酒類にバニラ・ビーンズを直接漬け込み作られたバニラ・エッセンスは特にバニラ・エキストラクトと呼ばれ区別される。
ウィキペディア『バニラ』より引用
バニラの鞘を収穫してから、製菓材料にするまでの工程が手間のかかるもので、日本の酪農のように生産農家の減少から需要と共有のバランスが極度に崩れており、近年価格が急騰しています。
バニラについてもっと知りたい方はプチ・ラパンのお菓子の博物館『仔兎図書館』の「マダガスカル産バニラビーンズ」にて
バニラビーンズの効果的な使い方
高価なバニラビーンズ。一度使ったらおしまいではありません。種を搾り取った後の鞘も使い切りましょう。
新しいさやを使うときも、効果的に香りを引き出しましょう。
新しいバニラビーンズの場合
購入したバニラビーンズをお菓子に使用するときはどうすればいいのでしょうか?初めての方は是非ご覧ください。
- 基本的な使い方
- より効果的に香りを引き出すために
基本的な使い方
まずはバニラビーンズを縦に半分に割きます。利き手でないほうの親指と人差し指でバニラビーンズを上下に挟み、その間を包丁を通す感じでゆっくりと割いていきます。
この際、終了地点の端はつながっていた方が扱い易いですが、完全に切り離してしまっても問題はありません。
割いた断面に包丁の背を当て、バニラビーンズの外側に親指を当てて中の種子をしごき出します。この際一度では取り切れないので2度か3度繰り返しましょう。
包丁についたバニラの種子を空になった鞘に擦り付けて、鞘ごと香りを移したい食材に加えます。(あとから鞘を取り出せないものを作るときは種子だけを食材に加えてください。)
より効果的に香りを引き出すために
バニラといってまず思い出すのは「カスタードクリーム」「アイスクリーム」「プリン」です。これらはどれも牛乳にバニラの香りを移して使用するといった共通の工程があります。効果的により良く香りを引き出すために以下の点をお試しください。
- 温めるときは牛乳が冷たい状態からバニラを鞘ごと加え、ゆっくりと過熱する。
- 沸騰直前まで加熱したら火を止めて、お鍋に蓋をして5分~10分ほど蒸らす。(お茶やハーブティーを美味しく入れるコツと同じですね)
- プリンなどで牛乳を冷たい状態から作るレシピの場合は、上記の蒸らした後のものを氷水を当てて冷やしてから使う(多少分量が蒸発しているので使用前に計量しなおす方がいいでしょう。)もしくは、お菓子を作る前日に牛乳とバニラを鞘ごと容器に入れ、ラップフィルムなどで密閉して一晩冷蔵します。
※温めた方がより香りをしっかりと移すことができますが、レシピや制作過程を考慮して最適な方法を選択してください。
一度使ったバニラビーンズの場合
一度使ったバニラビーンズ、必ず鞘が残りますよね。捨ててしまうのではなく2次利用しましょう。
事前準備としては使用後の鞘を水洗いして、カラカラになるまで自然乾燥させてください。
※この際、鞘を牛乳に浸して使用したものに関しては牛乳成分が残存している可能性がありますので、アレルギーをお持ちの方が出来上がったお菓子を摂取する場合特にご注意ください。
バニラシュガーを作る
フードプロセッサーもしくはミルサーが必要となります。
グラニュー糖100g当たり10本分程度のバニラの鞘を加えて、上記の機械で粉砕します。出来上がったものを目の細かい漉し器でふるって密閉容器で保存します。
出来上がったものはタルトの仕上げに表面に振りかけて焼き上げたり、焼き菓子を作るときにバニラエッセンスの代わりに使用したりするとよいでしょう。(お砂糖が入っていますので、その分量にはご注意ください。)
缶詰のフルーツを美味しく作り替える
上記の機械をお持ちでない場合はこちらをお試しください。
缶詰めのフルーツに使用後のバニラの鞘を加えて炊きなおすだけです。例えば500gほど入った洋ナシの2号缶の場合、85gの砂糖と100㏄の水、使用が乾燥済のバニラの鞘を1~2本程度加えて20分ほど炊きます。ポイントは丁寧に悪をとること。これだけで缶詰めとは思えない飛び切り美味しい洋ナシのコンポートが出来上がります。
ただし、缶詰のメーカーによって味や柔らかさに違いがありますので何度か作って微調整してください。当然、洋ナシ以外のフルーツもおいしくなりますよ!
この出来上がった洋ナシのコンポートをよく冷やして、買ってきたバニラアイスを添え、チョコソースをたっぷりかけるとPoire belle Hèléne(洋ナシのコンポート、エレーヌ風)というクラシックなデザートになります。とってもおいしいので是非お試しください!!
京都・長岡京のプチ・ラパンにはバニラ・ビーンズをたっぷり使ったシュークリームがあります。